夏休みの自由研究に! おうちで浮世絵を楽しめるデジタルコンテンツまとめ

夏休みの自由研究に! おうちで浮世絵を楽しめるデジタルコンテンツまとめ

世界に誇る日本の文化、浮世絵。今年の夏の自由研究は、浮世絵について学んでみませんか? とは言え、コロナ禍で迎える2度目の夏休み、東京では4度目の緊急事態宣言が出ていて、気軽に家族で外出というわけにはいかないと思います。でも大丈夫、日本の様々な文化施設や機関の皆さんが、浮世絵を楽しく学べるコンテンツをオンライン上に多数用意してくれています。このページではそんな浮世絵に関するデジタルコンテンツをまとめました。(※ラインナップ及びコメントは編集長の独断と偏見によります。)
ぜひ夏休みのおうち時間にご活用ください!

【目次】
★図画工作大好きキッズ、集まれ(推奨:小学校低学年以上)
 ・城西大学水田美術館「ぬり絵で浮世絵」
 ・東京国立博物館 親と子のギャラリー「まるごと体験!日本の文化リターンズ」

★浮世絵博士になっちゃうぞ!(推奨:小学校高学年以上)
 ・公文教育研究会「くもん子ども浮世絵ミュージアム」
 ・太田記念美術館 note 
 ・すみだ北斎美術館「すみだと北斎」
 ・藤沢市藤澤浮世絵館 WEB版「こども浮世絵しんぶん」

★浮世絵の楽しみ方さまざま(推奨:中学生以上)
 ・国立国会図書館 電子展示会「錦絵でたのしむ江戸の名所」
 ・東京都江戸東京博物館 特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」アーカイブ 
 ・国立劇場伝統芸能情報館 Youtubeチャンネル
 ・島根県立美術館 「島根県立美術館の浮世絵コレクション」

★要チェックのオンラインイベント(番外編)
 ・山種美術館 オンラインイベント&「おうちで日本画」
 ・印刷博物館 オンラインイベント&「いんぱくポッドキャスト」

★「北斎今昔」もよろしくね

★図画工作大好きキッズ、集まれ

まずは、小さなお子さんでも浮世絵を感覚的に楽しめる、図画工作タイプのコンテンツをご紹介。意外と親御さんの方がのめり込んじゃいそうですが……。

色を塗ることで見えてくる浮世絵師の仕事
【城西大学水田美術館「ぬり絵で浮世絵」】

「浮世絵」は世界的に知られていますが、それらが木版画で作られていることは、意外と認識されていなかったりします。ムラのない色面、水性顔料の重なりが生み出す無限の色彩、さまざまな快調のグラデーション……。これらは全て版画ならではの表現であり、色鉛筆や筆で同じように再現するのは、とても難しいです。
城西大学水田美術館(埼玉・坂戸)の浮世絵コレクションを元にしたぬり絵の体験を通じて、日本の伝統的な木版画の特性を理解したり、限られた色数で画面を構成する絵師たちのアイディアと努力を実感できるのでは。もちろん、独創的な配色で、世界に一つのオリジナル浮世絵を作って楽しんでいただいても。2021年8月現在、9種類のぬり絵が公開中。

▶︎ 城西大学水田美術館「ぬり絵で浮世絵」


 

体験型展示をおうちでも
【東京国立博物館 親と子のギャラリー「まるごと体験!日本の文化 リターンズ」】

東京国立博物館「まるごと体験!日本の文化 リターンズ」ウェブサイトより

好評だった東京国立博物館(東京・上野)のファミリー向け企画が夏休みに復活。「浮世絵」「うるし」「きもの」「よろい」の4つのテーマを取り上げた体験型展示、親と子のギャラリー「まるごと体験!日本の文化 リターンズ」の開催(2021年7月20日~9月5日)に合わせ、同館公式サイトにて、会場で配布しているワークシート(日英併記)がダウンロードできるようになっています。「浮世絵」のコーナーでは、浮世絵版画の制作工程に注目。
ワークシートに掲載されたQRコードから「トーハクなび」のアプリをスマートフォンにダウンロードすれば、浮世絵版画の制作の様子を動画で見たり、版画の摺りの擬似体験(ミニゲーム)をすることが可能ですよ。

▶︎ 東京国立博物館ウェブサイト 「まるごと体験!日本の文化 リターンズ」


 

★浮世絵博士になっちゃうぞ!

続いては、浮世絵の歴史や浮世絵師について、おうちにいながらたくさんのことが学べるコンテンツをご紹介。日本史の知識も少し必要になってくるので、対象年齢としては小学校高学年以上でしょうか。もちろん、分からないことや、より詳しく知りたいことがあったら、図書館なども上手に活用してみて下さい。

大人も学べる、子ども浮世絵大集合
【公文教育研究会「くもん子ども浮世絵ミュージアム」】

みなさんご存知のKUMON。公文教育研究会では、子どもをテーマにした浮世絵を数多く収集し、約1,800作品をウェブサイト「くもん子ども浮世絵ミュージアム」で公開しています。トップページには「世界に広がる浮世絵の歴史と広がり」「浮世絵ができるまで」という浮世絵の基礎知識を簡潔にまとめたコンテンツを掲載。この2ページを読むだけでも、かなり浮世絵に詳しくなれます。
なお、今年はくもん子ども浮世絵コレクションの展覧会「遊べる浮世絵展」が11月20日より横須賀美術館で開催されます。新型コロナウィルスの感染の一日も早い終息を祈りつつ、秋の展覧会を楽しみに待ちましょう。

▶︎ くもん子ども浮世絵ミュージアム


 

おもしろコラムからオンライン展覧会まで情報満載
【太田記念美術館 note】

昨年のコロナ禍において、中止(延期)となった展覧会の展示作品をいち早くSNS上で紹介し、「#おうちで浮世絵」のハッシュタグで注目を集めた浮世絵専門の美術館、太田記念美術館(東京・原宿)。そんな同館の「note」は、日本屈指の浮世絵コレクションと学芸員の豊富な知識を惜しみなく公開している、汲めども尽きぬ知の泉。
「北斎はなぜ93回も引っ越しをしたのかという話」「江戸時代のスイカはどのようにカットしていたのかという話」「猫のお蕎麦屋さんをレポートしてみた」など、楽しい切り口のコラムがどんどん更新されているので、ぜひフォローを。開催中、および終了した展覧会の内容を紹介する「オンライン展覧会」(有料)は、電子版展覧会図録として多くの浮世絵ファンが重宝しています。

▶︎ 太田記念美術館 note


 

北斎のふるさと墨田区にある、すみだ北斎美術館のコンパクトな北斎概説
【すみだ北斎美術館「すみだと北斎」】

世界的な知名度と人気を誇る葛飾北斎。インターネット上には、北斎に関するさまざまなコンテンツが存在し、ウェブ検索でも大量の結果が表示されますが、一方で信憑性のある、整理された情報にたどり着けなくなっているような気も……。北斎の生涯と作品について、まず全体を把握するなら、彼のふるさと、墨田区のすみだ北斎美術館(東京・両国)のウェブサイトを見てみてください。
「すみだと北斎」というカテゴリの「北斎の生涯」と「北斎について」の2ページを読めば、北斎の人物像が見えてくるはず。墨田区の土地勘のある方は「ゆかりの地マップ」で、北斎をより身近に感じられますよ。

▶︎ すみだ北斎美術館ウェブサイト「すみだと北斎」


 

親しみやすくて読みやすい浮世絵新聞
【藤沢市藤澤浮世絵館 WEB版「こども浮世絵しんぶん」】

辻堂の駅前、地域の子どもたちが集まる「ココテラス湘南」の7階にある藤沢市藤澤浮世絵館(神奈川・藤沢)。これまで定期刊行してきた「浮世絵館だより」に加え、2020年からWEB版「浮世絵館だより」とWEB版「こども浮世絵しんぶん」を発行。それらのPDFファイルを同館サイトでアーカイブしています。中でも「こども浮世絵しんぶん」の紙面は誰もが親しみやすく、文章も読みやすくてオススメ。
浮世絵を見て疑問に思ったこと、考えたこと、感じたこと。絵や文章で、どう伝えれば良いのか困ったら、「こども浮世絵しんぶん」をお手本にしてみてはいかがでしょうか。

▶︎ 藤沢市藤澤浮世絵館「浮世絵館だより」/WEB版「浮世絵館だより」/WEB版「こども浮世絵しんぶん」アーカイブ


 

★浮世絵の楽しみ方さまざま

江戸時代の人々の暮らしや旬の情報を描いていきた浮世絵。ここでは、江戸文化を浮世絵から読み解くことのできる、テーマ性のあるデジタルコンテンツをご紹介します。

東京の街をバーチャル散歩
【国立国会図書館 電子展示会「錦絵でたのしむ江戸の名所」】

国立国会図書館ウェブサイトより(スクリーンショット)

外出自粛の今こそ、浮世絵で東京の街をバーチャル散歩と参りましょう。現在の地図と江戸時代の切絵図上に浮世絵がマッピングされた、国立国会図書館(東京・永田町)のハイクオリティなデジタルコンテンツです。たとえば地図上の「日本橋」をクリックすると、日本橋という場所の歴史的な解説とともに、いろんな絵師が描いた日本橋が一覧になって表示されます。各図拡大表示でき、さらに作品によっては同館所蔵の「版・刷が異なる錦絵」まで検索できるという機能付き。ぜひ時代劇のお好きなワンシーンの現場を、浮世絵で探してみてください。

▶︎ 国立国会図書館 電子展示会「錦絵でたのしむ江戸の名所」


 

北斎・広重が描いたニッポン
【東京都江戸東京博物館 特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」アーカイブ】

江戸時代に大衆の娯楽として興隆した浮世絵版画には、当時の社会情勢や時代の流行が色濃く反映されています。時代の横軸で作品を眺めることで、当時の人々の関心ごとや、版元の戦略、絵師たちの人間関係が見えてきます。
東京都江戸東京博物館(東京・両国)で開催された「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」(2021年4月24日〜6月20日)は、同時代に活躍した北斎・広重の二人の人気絵師の風景画に焦点を当て、江戸時代後期の風景画ジャンルの成立と進化について知ることのできる展覧会。現在、学芸員による展示作品の解説動画とVR展示がアーカイブとして無料公開(2022年3月末まで公開(予定))されています。

▶︎ 東京都江戸東京博物館ウェブサイト 特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」


 

役者絵の面白さがわかってくる!
【国立劇場伝統芸能情報館 Youtubeチャンネル】

江戸時代のスーパースターたちを描き、人々を熱狂させた役者絵。まさに江戸文化の精華でありながら、歌舞伎の演目や俳優についての予備知識がないと、今ひとつピンと来ないのが難点。浮世絵が好きな方の多くが「これが分かると、もっと面白いんだろうなぁ」と思いつつ、自分一人ではなかなかもう一歩が踏み込めないジャンルではないでしょうか。国立劇場伝統芸場情報館(東京・半蔵門)のYoutubeチャンネルが公開している役者絵講座は、そんな浮世絵ファンの背中をそっと後押ししてくれる、丁寧な解説の優良コンテンツ。

▶︎ 国立劇場伝統芸能情報館 Youtubeチャンネル


 

美術品を集めるということ
【島根県立美術館の浮世絵コレクション】

本企画では様々な文化施設のデジタルコンテンツをご紹介していますが、そもそも美術館や博物館には、なぜこんなにたくさんの文化財があるのでしょうか。誰がどうやって集めたのでしょう。現在休館中の島根県立美術館(島根・松江)が公開しているウェブサイト「島根県立美術館の浮世絵コレクション」では、浮世絵の名品の数々を鑑賞しながら、コレクションの形成や美術館の役割・機能、そういった作品の背景にまで意識を向けることができます。

▶︎ 島根県立美術館 島根県立美術館の浮世絵コレクション


 

★要チェックのオンラインイベント

最後はやや番外編。定期的にイベントを開催し、オンライン配信にも積極的に取り組む二つの美術館・博物館をご紹介します。さまざまなジャンルやテーマのイベントの中に、浮世絵に関するコンテンツもあります。SNSをフォローするなどして、今後のイベント情報もチェックしてみて下さい。

日本美術ファンが通い詰めるイベントがオンラインで
【山種美術館 オンラインイベント&「おうちで日本画」】

日本画専門美術館、山種美術館(東京・広尾)では、これまで企画展ごとに講演会やギャラリーツアーを開催してきました。今年からそれらをオンラインで実施し、公式サイトで視聴できるようにしています(一部有料)。現在、同館で開催中の企画展「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選 ―写楽・北斎から琳派まで―」に合わせて実施されたオンライン講演会もアーカイブ視聴可能です。また、秋以降の講演会の開催情報も続々と発表されています。同館のデジタルコンテンツをまとめた内容充実の「おうちで日本画」のページとともに、ぜひチェックしてみて下さい。

▶︎ 山種美術館ウェブサイト イベント情報


 

オン/オフ柔軟な対応で多彩なイベントを展開
【印刷博物館 オンラインイベント&「いんぱくポッドキャスト」】

昨年リニューアルした印刷博物館(東京・飯田橋)では、ギャラリーツアーやトークイベントを積極的に開催しており、新型コロナウィルスの感染状況に応じて、オン/オフラインの開催に柔軟に対応しています。同館公式サイトの「イベント一覧」は魅力的なイベントが目白押し。音声のみになりますが、今年5月に実施した常設展示のミニレクチャーを「いんぱくポッドキャスト」として公開しています。

▶︎ 印刷博物館ウェブサイト イベント情報


 

★「北斎今昔」もよろしくね

最後に。当媒体「北斎今昔」にも、浮世絵に関する様々な読み物を掲載しています。記事の末尾にある「#葛飾北斎」「#富士山」「#藍色」などのキーワードから関連記事を閲覧することもできるので、興味のあるテーマを探してみて下さい。
また下記の記事でご紹介した動画や展覧会情報は、自由研究に役立つと思います。どうぞ楽しい夏休みを!

ニコニコ美術館で実現した #おうちで浮世絵(太田記念美術館の企画展ツアー&浮世絵版画の制作実演の動画配信を紹介)
北斎・広重の浮世絵に見るジャパンブルー〜渋沢栄一の生きた時代〜(復刻版浮世絵のVR展を紹介)

文・「北斎今昔」編集部