北斎さんの富士山 〜復刻版で見る「富嶽三十六景」〜 (12)【PR】
連載「北斎さんの富士山 〜復刻版で巡る「富嶽三十六景」〜」は、アダチ版画研究所が制作した復刻版で、北斎の「富嶽三十六景」全46図を毎週2図ずつご紹介する企画です。前回の記事はこちら≫
作品No.3 「東都駿臺」
地名の由来は、駿河で徳川家康に仕えていた旗本たち(=駿河衆)が、家康没後に江戸に戻り、富士山の見えるこの高台に住んだからだとか。裃を着た武士の後ろ姿も見えますね。
■ カクダイ北斎
瓦屋根が並んだその向こうに、厳かにたたずむ富士山。武家屋敷が多かった地域ということで、全体に落ち着いた色調で、富士山もどこか澄ました雰囲気をまとっています。
■ ふじさんぽ
今や予備校の街のイメージが定着している駿河台。明治大学と日本大学のキャンパスもあり、学生さんが多い街です。今回のふじさんぽスポットは、北斎が描いた高台の雰囲気がわかる「JR御茶ノ水駅」。神田川を越えれば、湯島聖堂や神田明神もあり、一日歴史散歩が楽しめる地域です。
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作品No.16 「隅田川関屋の里」
街道を走る3頭の馬。蛇行する街道、遠景の富士山が、画面の中に広大な空間を生み出します。合間をたなびく霞の平行線が、さらに疾走感を増す効果線のような働きに。
■ カクダイ北斎
羽織りの裾をはためかせ、前屈みになって馬に乗る人。笠で顔はわかりませんが、手足にぐっと力がこもっているのがわかります。簡潔な線で早馬の躍動感を見事に表現。
■ ふじさんぽ
江戸の北の出入口、千住宿から隅田川を渡ると関屋の里。現在も関屋の地名は残っており、京成関屋駅も。今回のふじさんぽスポットは、駅から5分ほど歩いた場所にあるリバーフロントパーク「千住大川端公園」。水上バスの発着所もすぐ近くなので、ぜひ大川(隅田川のこと)の流れを満喫してください。
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editor's note:いよいよ今週末は大学入学共通テスト。コロナ禍での開催となりますが、皆さんが全力を出し切れるよう応援しております。今回は、学生街の「東都駿臺」と、疾走感のある「隅田川関屋の里」を選びました。
※ 葛飾北斎の「葛」の字は環境により表示が異なります。また「富嶽三十六景」の「富」は作中では「冨」が用いられていますが、本稿では常用漢字を採用しています。
文・「北斎今昔」編集部
提供・アダチ版画研究所
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