世界を代表するトップクリエーター6人が浮世絵の絵師となり、アダチ版画研究所の彫師・摺師とともに現代の浮世絵を創造する本プロジェクトは、「TOKYO DESIGN WEEK in Milano Salone2015」の企画として実現しました。ゴッホやモネに影響を与えた江戸の浮世絵に対し、“Homage to UKIYOE”というテーマで現在活躍するクリエーターがそれぞれの解釈で表現した現代の浮世絵が誕生しました。 ハリーポッター日本語版の表紙絵で有名なダン・シュレシンジャーをはじめ、プラダのデザインも手がけるジェームス・ジーンなどが参加。
本プロジェクトは、過去30年にわたり毎年神宮外苑で開催されているデザインの祭典「TOKYO DESIGN WEEK」の企画として実現し、2015年4月に開催されたミラノサローネで発表され、大好評を得ました。その凱旋帰国展示は、10月24日から11月3日に開催されるTOKYO DESIGN WEEK 2015にてご覧いただけます。
1979年、台湾生まれ。ロサンゼルス在住。NYの美術大学を卒業後、米国で最も権威あるコミックの賞・アイズナー賞をはじめ、アメリカンコミックのカバ―アートで数々の賞を受賞。2008年には、PRADAのアートディレクションを担当。2015年9月日本初のオリジナル画集『パレイドリア』が発売され、現代美術家・村上隆氏からも注目されています。
タイトルの「Pomegranate」は、ザクロのこと。本図に描かれたザクロからしたたる紅色で化粧をする女性は、ザクロの持つ豊穣や子孫繁栄といった強い生命力・存在感を身にまとおうとしているようにも見えます。木版画特有の鮮やかな発色を生かした、色彩のコントラストが鮮烈な作品です。
フランス生まれ。現在は米国サンフランシスコ在住。ドリームワークスアニメーションにて「シュレック2」「マダガスカル」など人気アニメーションの制作に携わっています。また、世界的に評価の高いゲーム『プリンス・オブ・ペルシャ』などアメリカンコミックの一つであるグラフィックノベルも手がけています。
様々なアニメーションの世界で活躍する作家が手掛けた本図は、恐竜の世界に迷い込んでしまった一羽の小鳥を描いた、冒険心に満ちたストーリーを感じさせる作品。明るい色遣いと木版特有の柔らかみのある質感が、とぼけたユーモアを感じさせる作品の魅力を引き立てています。
1955年、アメリカ生まれ。イギリス在住。イエール大学卒業後、オックスフォード大学とハーバード大学で法を学び、その後、デザイナーの友人の依頼で描いた作品が大きな反響を呼んだことがきっかけとなり、弁護士から画家へ転身。1999年、日本語版「ハリー・ポッターと賢者の石」の表紙絵と扉絵を担当し人気を集めています。
シャープな線からなる独特のタッチで描かれているのは、夜空に白い翼を広げた「ハリーポッター」シリーズに登場するシロフクロウ、ヘドウィグ。背景にはホグワーツ魔法魔術学校や箒に乗った魔法使いといった、ハリーポッターの世界を象徴するモチーフがちりばめられ、まるで物語の世界に迷い込んだかのようです。
1950年、香港生まれ。10年間の広告代理店勤務を経て独学でデザインを学び、1980年、デザイン事務所を立ち上げ、コーポレートロゴやプロダクトデザインなど幅広い領域で活躍。「西洋と東洋の融合」をコンセプトとする香港を代表する世界的デザイナーであり、三井住友銀行やFranc Francのロゴデザインも手がけています。
中国を象徴する思想家である孔子を描いた本図は、伝統的な姿に込められた意味を大切にしながら、現代的な感覚でモチーフを捉え直す作家独自の作風が感じられる作品。作家はこの作品において、中国から伝わった印刷技術から発展した日本の浮世絵のルーツを辿り、文化とは何かを探っています。
1954年、カナダのハイダ・グワイ生まれ。カナダの先住民族ハイダ族の民族政治に参加するとともに、アーティストとしてハイダの、歌、踊り、彫刻、絵など幅広い分野で活躍しています。自身が影響を受けた日本の漫画とハイダ民族の伝統芸術を融合させた「ハイダ漫画」という独創的な表現スタイルを確立し、日本や韓国、香港でも作品を発表しています。
カナダ先住民族ハイダ族の伝統的な手法で描かれる装飾的な輪郭線の中に、満員電車の風景を描いた本図は、左右対称に描かれたサラリーマンの画一的な姿や能面のような表情といった要素に現代社会への鋭い風刺がこめられています。
1958年、イギリス生まれ。1980年代前半より、デザイナーとして活動。数多くの国際的な賞を受賞し、1998年に優美な曲線を描いた「RLチェア」を発表し、世界的デザイナーとしての地位を確固たるものにしました。ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、パリのポンピドゥーセンターなどに作品が展示されています。
本図は歌川広重の傑作「大はしあたけの夕立」にインスパイアされたイメージを独自の視点で捉え描いた作品。画面を横切る大橋は、現在と未来をつなぐ橋でしょうか。作家特有の美しい曲線でデザインされた大橋の上を近未来的な装いの人々が行き交います。一方、その背景にある雲や雨は浮世絵の伝統的な技法で表現されており、伝統と現代が見事に融合した作品となっています。
収納帙付き
価格 ¥250,000(税別)