繊細な描線と柔らかな色彩の美人画で、多くの人を魅了している日本画家・宮﨑優氏。第9回アダチUKIYOE大賞を受賞し、現代の彫師・摺師たちと制作した木版画第一作「花ざかり」は大きな反響を呼びました。あれから5年、ふたたび現代の職人たちと木版画の制作に取り組み、第二作「櫛にながるる黒髪」が完成しました。「大正の歌麿」と呼ばれた橋口五葉へのオマージュである本作には、歴史の中で脈々と受け継がれてきた美人画の雅が息づいています。
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「大正の歌麿」と称された橋口五葉
へのオマージュ
小刀の先に神経を集中させ
流線を彫る
絵師が注力した
立体的な髪の表現
黒髪の表現に
数版を用いている
着物の質感の
再現へのこだわり
雲母を用いた
光沢のある背景
前作同様、作品左下には
宮崎氏の落款
人間国宝が漉いた最上級の
越前越前生漉奉書を使用
江戸時代の浮世絵、そして大正の新版画へと受け継がれてきた、美人画における頭髪の表現。流れるような黒髪の線描は、今回宮﨑氏が最も注力した部分です。各時代の絵師、そして職人たちへのリスペクトを込めて、令和美人の髪の線を彫ります。
雅やかな雰囲気を漂わせる宮﨑氏の美人画。それを支えているのが、柔らかく透明感のある色彩です。和紙の質感を活かしつつ、宮﨑作品の世界観を丁寧に摺り上げてゆきます。
1973年大阪府生まれ、山口県在住。
大阪府立港南高等学校美術科卒業。2011年に初の個展を開催。鉛筆・色鉛筆・アクリルと様々な画材で制作を続け、15年より独学で日本画の制作を始める。16年に、18名の日本画家によるアンソロジー『美人画づくし』に作品が掲載されるなど、美人画作品の発表を重ね、18年3月に「第9回アダチUKIYOE大賞」大賞受賞。22年 初画集『つむがれゆく縁』(芸術新聞社)刊行。23年 映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」劇中画制作・日本画指導を担当。「Seed山種美術館日本画アワード2019」入選。「第8回 郷さくら美術館 桜花賞」奨励賞受賞。