テーマは、世界文化遺産に登録された日本の象徴・富士山。その秀麗な姿は古より浮世絵をはじめ、多くの芸術の題材となってきました。本作は、草間彌生さんが初めて富士と間近に対峙し、心を動かされ、一気に描きあげたものです。生命力に満ちた黄色の富士山や力強く輝く太陽、タイトルとして添えられた詩の全てから、草間さんが感じたままの富士山への感動が余すところなく伝わってきます。
富士を間近で見た
感動をそのままに、
筆を動かす草間彌生さん
© YAYOI KUSAMA
力強い筆致で描かれた
山の輪郭が、
壮大さを感じさせる
黄色い富士。
湖の水面に反射した
太陽の光が、
真っ赤に輝いています。
草間さんが赤色で描いた
富士の稜線のリズムを感じながら、
彫師が忠実に彫りあげます。
草間さんのビビッドな
色彩を表現するため、
浮世絵にはない
色鮮やかな絵具を使用します。
高度な“ぼかし”の
技を駆使して、
画面に奥行きを
表現しています。
摺師が調合した
木版画独自の鮮やかな色彩で
一枚一枚摺り上げていきます。
人間国宝・
岩野市兵衛が漉いた、
楮100%の手漉き和紙
(越前生漉奉書)を使用。
小刀を震わせながら彫ることで、線に動きが生まれる。長年の経験から生み出された彫師の技。草間さんの躍動感あふれる筆のタッチを見事に表現しました。
和紙の繊維の奥まで絵具を摺り込むことで生まれる、木版特有の深い発色。この鮮やかな色彩は、浮世絵に培われた伝統の技術だからこそ可能な表現です。
© YAYOI KUSAMA
1929年、長野県松本市生まれ。
10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに幻想的な絵画を制作。28歳で単身渡米、60年代後半にはN.Y.にてハプニングを行うなど前衛芸術家としての地位を築く。73年帰国。93年「第45回ヴェネツィア・ビエンナーレ」に代表作家として日本館初の個展を行う。近年、大規模な個展が世界の有名美術館を巡回し、各国で高い評価を得ている。
絵のみ¥300,000(税別)
専用額付き¥330,000(税別)