おうちが浮世絵美術館に! 復刻版で楽しむ北斎のベストセラー「富嶽三十六景」

おうちが浮世絵美術館に! 復刻版で楽しむ北斎のベストセラー「富嶽三十六景」

みなさまは、いつでも好きなときに好きなだけ、名画を鑑賞できる自分専用の美術館があったら良いな、と思いませんか? その夢、実は浮世絵なら叶えられるんです! 現代の職人たちが制作したアダチ版画研究所の復刻版「富嶽三十六景」全46図セットをご紹介します。

北斎と同時代の感覚で浮世絵を楽しめる復刻版

浮世絵が好きな「北斎今昔」の読者のみなさまは、ふだんどのように浮世絵を楽しんでいらっしゃるでしょうか。おそらく、美術館や博物館で浮世絵を鑑賞したり、おうちで美術全集や展覧会の図録を眺めている方が多いと思います。最近は高品質な印刷の展覧会図録も多いですよね。

ここで、さらに浮世絵を楽しむ方法としてご紹介したいのが、浮世絵の復刻版。復刻版とは、現代の職人たちが、江戸時代と同じように制作したリプロダクションのことです。版木を彫り直し、一枚一枚、和紙に手で摺っています。

北斎の「神奈川沖浪裏」の版木を制作する現代の彫師(提供:アダチ版画研究所)

その最大の魅力は、江戸時代当時の人々と同じような感覚で作品を手にし、鮮やかな色彩を楽しめること。そもそも江戸時代に庶民が気軽に買って楽しんでいた浮世絵は、人々の所有欲をくすぐる要素がいっぱい。マイ浮世絵を持つことで、世界の歴史を動かした浮世絵の魅力を、自分の体験としてより強く実感することができます。

北斎の「神奈川沖浪裏」を和紙に摺る摺師(提供:アダチ版画研究所)

昭和3年創業の木版画工房が成し得た「富嶽三十六景」全46図復刻事業

アダチ版画研究所(本サイトの運営会社です!)は、昭和3年創業の木版画工房。まだカラー印刷が希少で、美術書が非常に高価だった頃、江戸時代の技術を継承する彫師・摺師を一つ屋根の下に集め、色鮮やかな浮世絵を多くの人が楽しめるようにと、復刻事業を開始しました。

当然、江戸時代に浮世絵の下絵を描いた絵師たちはすでに亡くなっているので、復刻版を制作するには、現存する浮世絵作品から下絵を起こす作業が発生します。アダチ版画研究所では、世界中の浮世絵コレクションを参照し、原寸復刻をモットーに、絵師の描線の再現に努めてきました。

北斎の代表作「富嶽三十六景」は全部で46図。江戸時代当時も、数多くの職人が携わり数年がかりで出版されたシリーズです。アダチ版画研究所では、「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」などの有名作から復刻をはじめ、ついに2006年に全46図の復刻を完了しました。

北斎が描いた46図の富士山が並んだ様は、壮観のひと言です。(提供:アダチ版画研究所)

北斎が生きていた時代と同じように、色鮮やかな浮世絵を一堂に集めて眺める喜びは格別。同社が復刻完了を記念して開催したお披露目展には、日本全国から多くの人が訪れました。

全46図のセットは、お値段575,000円(税別)。かなり高価なお買い物にはなりますが、北斎の永遠のベストセラーを一挙に所有する醍醐味を存分に味わえるはず。すべて職人の手仕事の木版画で、おうちが浮世絵美術館になりますよ。ちなみに、各図(13,000円)の販売も行っていますので、数年計画で、好きな絵柄からコツコツ集めるのも良いかもしれないですね。

商品情報

豪華な46図セットは、全図を収納できるケースと作品解説付き。(提供:アダチ版画研究所)

■ アダチ版復刻浮世絵「富嶽三十六景」全46図セット
[価格]575,000円(税別)
[購入方法]アダチ版画研究所オンラインストア

文・「北斎今昔」編集部