物語を秘めた小さなアート! 特殊切手「美術の世界」に北斎の浮世絵が
電子メールやSNSの普及によって、手紙やはがきを送る機会は、以前に比べると、だいぶ減ってきていると思います。でもだからこそ一層、手紙やはがきを送るときには、用紙や筆記具、そして切手にもこだわって、丁寧な気持ちを届けたいですよね。
切手がくれる名画との出会い
デジタルネイティブでない世代の方々にとって、切手は、さまざまな名画との出会いを提供してくれる貴重な存在だったのではないでしょうか。これまで、数多くの美術作品が切手の図柄に使用されてきました。
とりわけ浮世絵は切手の図柄に好んで採用され、菱川師宣の「見返り美人」や歌川広重の「月に雁」といった浮世絵は、切手を通じて有名になったと言っても過言ではありません。
2020年3月、そんな切手を通じた美との邂逅を思い起こさせてくれる特殊切手のシリーズが発売されました。その名も「美術の世界シリーズ」。第1集のテーマは「青の世界」。日本国内の美術館・博物館が所蔵する美術品のうち、青い色が印象的な名作を揃えた特殊切手です。
浮世絵の「青の世界」は北斎の「冨嶽三十六景」から
今回発売された「美術の世界シリーズ」は、シール式の63円切手(10枚)のシートと84円切手(10枚)のシートの2種類。上品で目にも涼やかな切手シートは、使うのがちょっともったいないくらいです。
小さな切手の画面に、伊万里焼の青、琳派の燕子花(かきつばた)の青、上村松園や黒田清輝の美人画の着物の青、七宝工芸の紫陽花の青……と多様な美術品の青が配されています。
そして浮世絵の青も1点。我らが葛飾北斎の「冨嶽三十六景」より、清涼感あふれる藍摺りの「甲州石班沢」が選ばれました。今回の切手では、すみだ北斎美術館(東京)の所蔵品が使用されています。
青い「甲州石班沢」はとってもレア!
北斎の「冨嶽三十六景」は、江戸時代に増刷に増刷を重ねた大ヒット作であり、「甲州石班沢」もかなりの枚数が制作・販売されました。そして実は、この増刷の途中で「甲州石班沢」はカラー変更をしています。最初は青のモノトーンだったのですが、後摺りでは青のほかに茶や緑、黄色といった色が使用されました。
今回、切手になったすみだ北斎美術館の所蔵品は、ご覧のとおりのさわやかな青一色。稀少な初期の摺りのものなのです。そう、浮世絵にも「初回生産限定盤」のようなものが存在するんです。
「美術の世界シリーズ」第1集は、北斎の数多の浮世絵の中から、敢えてこのレアな青い「甲州石班沢」を選んでいます。こういうちょっとしたエピソードを知ると、手紙の内容や送る相手に合わせた切手選びが、さらに楽しくなってきませんか?
ちなみに「美術の世界」第2集は2020年10月16日発売予定。第2集にも、浮世絵が登場するのでしょうか? 今からとても楽しみですね。
商品情報
■ 特殊切手「美術の世界シリーズ 第1集」
・63円郵便切手(シール式)
[価格]630円
・84円郵便切手(シール式)
[価格]840円
[発行日]2020年3月19日
[購入方法]全国の郵便局など ※在庫状況は各局にてご確認ください。
郵便局のネットショップ(63円)
郵便局のネットショップ(84円)
※一梱包あたりのご注文額が5,000円未満の場合は送料がかかります。
※売り切れの場合もございますので、あらかじめご了承願います。
協力・日本郵便株式会社
文・「北斎今昔」編集部
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