喜多川歌麿　青楼十二時

辰ノ刻

たつのこく

布団に手を掛ける女性は心なしかリラックスした表情です。

横になる女性は髪を指でつまむ仕草をしています。

床の横には茶碗や懐紙、煙草が置かれており、日常が垣間見えます。

青楼十二時のシリーズでは、温かみのある黄潰しの背景に遊女たちの姿を描いています。

生え際は最も難易度が高い所。江戸時代には専門の職人がいた、彫師の腕の見せ所です。

人間国宝・岩野市兵衛氏が作る和紙(越前生漉奉書)を使用。木版独特の鮮やかな発色や柔らかな温かみのある風合いを作り出しています。

美人画の第一人者・喜多川歌麿が、遊郭の一日を一刻ずつ（2時間ごと）描いた「青楼十二時」の中の一図です。「辰ノ刻」（午前8時）、すでに家の者は起きだす時間ですが、画中の遊女はこれから仮寝をするようにも見えます。二人の表情からは気の置けない同輩と過ごす安堵や開放感が伝わってきます。

標準価格 22,000円（税込）

喜多川歌麿について: 浮世絵の黄金期に、美人画絵師として活躍しました。しかし、その生涯については、実はよくわかっていません。寛政期に入り、評判の町娘や遊里の女性たちを魅力的に描き、浮世絵美人画の第一人者としてその名を知らしめました。寛政の改革下、様々な表現の制約にも屈することなく、常に新しい表現手段を模索し続けましたが、文化元年（1804）、風紀取締りの処分（一説に入牢3日、手鎖50日の刑）を受け、その二年後にこの世を去りました。; 喜多川歌麿の商品一覧